「死者は生き返る」が15% 長崎県が児童生徒に調査

かういふ報道を聞く度に、溜息が出ます。
十五パーセントといふ數字は實に僅少ではありますまいか。古代インドの思想で、東洋の思想に重大な影響を與へたものに「輪廻」といふのがありますが、これぞ「死者は生返る」でありませう。一つの哲學思想としての「輪廻」は異常なものではありますまい*1。これが異常であると感じることこそ異常でせう。これは偏見ですが、(東洋人である)私にとつてはクリスト教の終末思想の方が餘程奇怪な思想に見えます。
ヴードゥー教の牧師が屍體に術を掛けると動き出す、等と考へてゐる小中學生がゐるとは思へません。さういふ意味でこのアンケートを取つたなら、異常なのはアンケートを取つた長崎縣教育委員會の方です。
長崎県佐世保市の小6女児事件を受け」てのことださうですが、ならば「死んだ人が生き返ると思いますか」ではなく「死んだ人が生返るので殺しても良いと思ひますか」とするべきです。一人も「はい」とは答へないでせう。
天動説を信奉する小學生が四割ゐることが驚きと嘆きの目で見られてをりましたが、習ひもしてゐないことを六割が知つてゐることを喜ぶべきですらあれ、嘆くべきこではないでせう。といふやうなことを朝日新聞*2で、言つてをりました。「地動説が優れてゐるだけで天動説は必ずしも間違ひとは言へない」といふやうなことも言つてゐて、隨分面白く思ひました。
話が飛びますが、アインシュタイン相対性理論といふのも隨分怪しいやうで、人々に信じられてゐるのはそのネームヴァリュー故といふ點が大きいらしい。漫畫「ドラえもん」でのび太が「早く動いてゐる方が時間がゆつくりになる? そんな訣ないぢやん」といふやうなことを言つてスネ夫の失笑を買ふといふのがあつたと記憶しますが、ある理論を盲信してゐるスネ夫よりものび太の方が餘程まともと言へます。
「常識」は常に正しいとは限らない。

*1:勿論私は非科學的なものを嫌ひますし、輪廻といふものを信じませんが。

*2:今この名を出すと怪しまれさうですが