縱書について

國語は横書よりも縱書の方が讀みやすいと思ひます。人の視野は縱よりも横の方が廣いと言はれます。しかし、眼球の動作は横方向よりも縱方向の方が樂と言はれます。目を動かさずに文字を讀む人はゐないのですから、横書きよりも縱書きの方が目に與へる負擔は少いと言へるでせう。
更には漢數字が「一」「二」「三」……と横線でローマ數字が「I」「II」「III」……と縱線であり、讀んで行く方向と十字に交はります。そのはうが讀易いからと考へるのは間違ひでせうか。
縱書の文字が横書になつた歴史は、支那語が左横書になつたもの、モンゴル文字キリル文字に代られたものなどがあります。しかし、支那語が左横書きになつたのは讀易いからではなく、單に歐米がさうだからに過ぎず、モンゴル文字も、單に當時のソヴィエト、今のロシアがさうだからに過ぎない。讀易いので支那語が横書になつたのならば、右横書になる筈でありませう。それまで右縱書をしてゐたのですから。
横書の文字が縱書きになつた歴史には、ウイグル文字*1のそれがあります。その理由はよく分りませんが、彼等が縱書の讀易さに氣附いた、といふ考へは強ち見當外れでもありますまい。
因に、だから縱書にしろとは申しません。そもそもウェブでまともに縱書をしようといふのが無理です。その邊りは野嵜健秀氏が『「縱書きHTML文書」を作るべからず』で解説してをられますので、私は解説しません。

*1:古代ウイグル文字。モンゴル文字の元になつた。